クリスマスの思い出

小さい頃、サンタさんが家にやってきました。クリスマスの朝には、目覚めると枕もとにプレゼントが置いてあるってのが毎年の恒例だったんだけど、その年はどこかのデパートの企画に近所一帯の親たちが申し込んだらしくサンタさんがピンポーンとチャイムを鳴らしてやってきたんです。


その頃のうちの玄関はドアの隣がガラスになっていたので、そのガラス越しに赤い大きなひとがいることがわかった私は「サンタさん!おかあさんサンタさんが来た!」と叫んで居間に走りこみました。「そんなわけないじゃない。」と笑う母。「もう一度見てきてみな。」と笑う父。(迫真の演技)


恐る恐るドアを開けると、「メリークリスマーース!!」クラッカーの音。そこには、やせっぽっちのサンタさんと綺麗なバニーガールのお姉さんが2人いました。子供心に、なんか、なんか違うと思ったけれど「ありがとう!」と大きなプレゼントを貰いました。わくわくしながら包装紙をばりばりと開けると出てきたのはポンジャン。子供用のマージャンみたいなゲームです。ち、違う、あたしが欲しかったのは、ドラえもんのドンジャラってやつ。とはもちろん言えなかった。


次の日、近所の子供たちで集まって「きのうきた?サンタ」「うん、きたきた」「痩せてたよね」と話しました。幼なじみのリカちゃん(とても気が強い)が「サンタさあ、玄関から来たんだよ!」と物凄く怒ってたので「しょうがないよ、煙突ないんだから」とみんなでなだめました。そのリカちゃんは今ではチンピラのような男と結婚離婚を繰り返し、どこか遠くの街で暮らしています。だんなさんが銃刀法違反で捕まったり、とまるでVシネマのような人生を歩んでるらしいです。ああ、幸せなクリスマス話がなんかダークに。


みなさんよいクリスマスを!リカちゃんも梨華ちゃんも。